ホチキス先生の「プログラマーと呼ばれたい」

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YAMAHA CS5

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1977年にYAMAHAはシンセサイザーCSシリーズとしてプロ向けのCS80、コンシューマー向けのCS10を発売した。CS80は8音ポリフォニックのシンセサイザーで、定価は128万円。個人が趣味で買える値段ではなかった。シンセサイザーという楽器そのものが一般に認知されていなかったこともあり、赤や黄色、緑に塗られたレバーやスイッチ群のデザインはエレクトーンをイメージしたものだった。あらかじめ設定された22のプリセットをボタンで切り替えて使うというライブ向けの仕様だった。

いっぽうCS10は同時発音数1、1VCO、1VCF、1VCAの最もシンプルなモノフォニックシンセサイザーで、定価も8万2千円と学生でもなんとか買うことができる価格になっていた。同様のコンセプトを持ったモノフォニックシンセサイザーのうち、ROLANDのSH-2が定価9万9千800円、KORGのMS-10が5万3千500円、MS-20が9万8千円だった。

ちなみにこれは余談だが、1989年の一般消費税導入以前には楽器などは「贅沢品」とされ、物品税が課せられていた。物品税は品目によって税率が異なったが、確か楽器は10%課税であったと記憶している。

学生アマチュアミュージシャンにとってこれらシンセサイザーは気になる存在だったが、中でも音が太くロック的だったのは2VCO+サブVCOの実質3VCOであったROLANDのSH-2だった。左右に振るスタイルのピッチベンドコントローラーの操作性も直感的でライブ演奏性に優れていた。KORGのMS-10やMS-20はパッチパネル式で音作りの柔軟性が高かった。これに対してYAMAHAのCS10は1VCOであり回路設計のためか音は軽い上品なものだった。またYAMAHAからは2VCOで三角波を加え、VCFにEGのリバース効果が使えるなど機能を充実させたCS15も発売された。

このCS5はCS10の機能を絞込んで価格を抑えたものだ。

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<Fig.1 – YAMAHA CS5>

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<Fig.2 – YAMAHA CS5背面の製品表示部>

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<Fig.3 – YAMAHA CS5のCONTROL VOLTジャック部>

当時のモノフォニックシンセサイザーのなかには、外部信号によって演奏させるためのコントロール信号を受け付けるようになっているものがあった。YAMAHAのCSシリーズも外部信号の電圧によってコントロールでき、キーボードの打鍵からの信号を外部に出力できるようになっていた。これによりシーケンサーなどによる自動演奏や外部音源との接続、シンセサイザーを複数つないでの演奏などが可能だった。

この外部信号の電圧の取り扱いには2種類の仕様があり、RolandやMOOGをはじめとする海外製品の多くは電圧に対してオクターブが比例の関係にあるOct/V規格になっていた。これを「オクターブ・パー・ボルト」という。この規格では電圧が1ボルト上がると音は1オクターブ上がる関係になるが、音が1オクターブあがると周波数は2倍になるので、周波数に対する電圧の関係は指数比例の関係になる。これに対してYAMAHAやKORGのシンセサイザーは電圧に対して周波数が比例の関係にあるHz/V規格だった。これは「ヘルツ・パー・ボルト」という。

この外部信号によるコントロール機能を利用したアナログシーケンサーも各社から発売されていて、俺が愛用していたのはRolandのCSQ-100だった。これはOct/V規格だったのでYAMAHAのシンセサイザーと接続するためにOct/VとHz/V規格をコンバートするKORGのMS-02インターフェースを使っていた。MIDI規格が普及し、ディジタルシンセサイザー全盛時代になったとき、これらの機材は捨ててしまったが、今考えれば先の見通しが甘かったとしか言いようがない。大いに後悔している。

ところで周波数とオクターブは、1オクターブ上がると周波数は2倍になる関係があるので、Oct/V規格では高音域になるほど1ボルトあたりの周波数割り当てが多くなる。つまり高音域では少しの電圧変化が大きな周波数変化になる。おそらくこれがOct/V規格のシンセサイザーの音程が不安定である理論的な原因であると思われる。逆にHz/V規格では制御しようとする全体の音域をOct/V規格と同じにしようとすると、1オクターブあたりの電圧割り当てが低音域ほど小さくなるので、低音域に音程が不安定になる傾向がみられるはずだが、人間の耳は低音域の音程の変化は感じにくいので顕著化しないのではないかと思われる。このあたりはVCFやVCAのコントロールもあわせて理論的に解明してみたいところだ。

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<Fig.4 – YAMAHA CS5のTRIGGERジャック部>

これはTRIGGERジャック部だが、TRIGGERは音のON/OFFをコントロールする信号でGATEともいわれる。このTRIGGERまたはGATE信号も高電圧をONに割り当てるかOFFに割り当てるかの2規格が存在し、ONを高電圧に割り当てるものをV-Trig、Voltage Triggerといい、OFFを高電圧に割り当てるものをS-Trig、Switch Triggerといった。YAMAHAやKORGはS-Trig、ROLANDはV-Trig規格だったが、これらもKORGのMS-02ではコンバートすることができた。

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<Fig.5 – YAMAHA CS5のEXTERNAL INジャック部>

EXTERNAL INに外部音源を入力すると、シンセサイザーのVCFやVCAで音をコントロールすることができた。たとえばギターを接続しVCFをコントロールするとワウペダルのような効果が期待できるが、実用的ではなかった。

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<Fig.6 – YAMAHA CS5のEXTERNALとLFOコントロール部>

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<Fig.7 – YAMAHA CS5のVCOコントロール部>

VCOノコギリ波をそのまま出力し、それに矩形波をミキシングして加える仕様になっている。ノコギリ波の要素は変更できないが、矩形波はLFO変調、ポルタメント、PWMがかけられるようになっている。PWMはPulse Width Modulationで、波形のデューティー比を変調することである。

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<Fig.8 – YAMAHA CS5のMIXERコントロール部>

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<Fig.9 – YAMAHA CS5のVCFとEGコントロール部>

パネルのこの部分は上がVCF、下がEGコントロールだ。

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<Fig.10 – YAMAHA CS5のVCAコントロール部と電源スイッチ>

パネルの右端、VCAと電源スイッチ部分。

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<Fig.11 – YAMAHA CS5のPITCH BENDコントロール>

YAMAHAのCSシリーズではピッチベンド・コントロールがこのように前後スライダーになっている。音程は上方にスライドすると上がり、下方にスライドすると下がる、という仕様だが、これに対してROLANDのSHシリーズでは左右にスライドするコントローラーを使っていた。音程は右に傾けると上がり、左に傾けると下がる仕様だ。体感的にはROLANDのコントローラーが良いと感じる。キーボードの鍵盤に対して音程の上げ下げの感覚が同じだからだ。ピッチベンドで音程を上げるところはソロの上でテンションになる部分であり、ROLANDのキーボードを使いベンドしながら体を右に傾けるプレイヤーのアクションは視覚的にもエキサイティングだったことを思い出す。

YAMAHAのWebサイトには未だに生産完了品についても公式の記載があり、このCS5も基本的なスペックなどを見ることができる。

YAMAHAのサイトにおけるCS5についてのページ
http://jp.yamaha.com/products/music-production/synthesizers/cs5/?mode=model#list=within&page=2

Written by Yoshio Matsumoto

2011年7月30日 @ 7:56 PM

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