ホチキス先生の「プログラマーと呼ばれたい」

InfoPath & SQL Server !

真似をするなら自己責任で。電解コンデンサを交換して壊れたパソコンの電源を修理する。

with 7 comments

学校のシステム管理者はここまでしなければならないのか、といった自問自答を繰り返しながら、壊れたパソコンの修理をやってみた。そもそもの発端はこうだ。

俺が勤める学校には「教員パソコン」と呼ばれる教員一人一台のコンピュータ環境がある。これらは職員室の机上におかれ、教員は自分の机上の「教員パソコン」から校内のファイルサーバーや共有プリンタを利用して事務作業をしたり、インターネットのWebアクセスで教材を調べたりしている。もちろんActive Directoryでコンピュータやユーザーを管理している。

この「教員パソコン」として使われているコンピュータのうち、NEC製のデスクトップ「Mate」のスリムタワー、MY26X/R-Hが次々故障するという事態がこの夏あたりから発生した。昨日は1台、今日は2台、といったように、あたかもタイマーが切れたかのように動かなくなっていく。それは、映画「ブレードランナー」で描かれるレプリカントの寿命が尽きるシーンを思いだすほどだった。

IMG_1857_mid_640_480

<Fig.1 : 次々と動かなくなったNECのMate MY26X/R-H>

動かなくなったコンピュータは、ほとんど同じ症状を呈している。それは稼働中に故障するのではなく、ある日、電源を入れようとして、動かなくなっていることに気づく、というものだ。そしてコンピュータは電源ボタンを押す前から電源ランプが点灯したままになっており、電源ボタンを押しても動かない、まったく何の反応もない、というものだ。

事務室を通じて修理の見積もりを依頼すると、数万円かかるということだった。かなりの台数になっているので、修理には相当の予算が必要になる。また古いコンピュータを数万円かけて修理することがよいのかどうかの判断もある。そこで当面、使えなくなったコンピュータを撤去して倉庫に集め、対策を考えることになった。

IMG_1931_mid_640_580

<Fig.2 : 倉庫に集められた故障コンピュータ>

しかし次々にコンピュータが壊れていくので、何らかの対策を考えざるを得なくなった。そこで、これらのコンピュータのいったいどこの具合が悪いのかを調べてみることにした。

まだちゃんと動いているものもあったので、問題のないものと故障で動かないものの両方を分解し、メモリを交換してみたりハードディスクを交換してみたりした。そこでわかったのは、電源ユニットに問題があるということだった。動かなくなったコンピュータの電源を取り外し、ちゃんと動いているコンピュータの電源と交換すると、すべてのコンピュータがちゃんと動くことが確かめられたのだ。

IMG_1901_mid_640_480

<Fig.3 : 故障の原因だった電源>

そこで、この電源部分だけを交換することができないかを考えた。近くのパソコンショップに電源を持っていき、これと同じものが手に入らないかを聞いてみると、ATマシンの電源はあるていど規格が決まっていて、これはおそらくTFX電源なのではないか、ということを教えてもらった。ただあいにくその店にTFX電源の在庫はなかった。

そこで再度、修理の問い合わせで、「電源部分の故障だということがわかったのだから、電源の交換だけでよいはずだから、もっと安く修理できるのではないか。なんなら電源部分だけを購入してこちらで取り替えてもいい。」と交渉してみた。すると電源部分だけなら7千円ほどで購入できる、というようなこともわかった。

それにしても、20台ちかく故障が出ているので、ひとつ7千円として20台で14万円もかかってしまう。それにしても、どのコンピュータも同じように電源が故障するとは、これは設計ミスか品質管理に問題があるのではないか、とも思われるほどである。

ところで、実は俺の義理の父は電気技師であり、電気製品の修理に詳しい人である。俺も子供の頃からはんだごてを片手にラジオやロジック回路を組み立てたりしたこともあり、修理の話などを聞き、電気機器やその回路、部品の話などをするのをいつも楽しみにしている。いろいろ聞く話の中で思い出したのが、「電気回路で壊れやすいのは電解コンデンサだ」ということだった。

もしかしたら、壊れた症状が同じならば、壊れた部品も同じものかもしれない。それならば、壊れた部品さえ特定できれば、その部品だけ交換することで直るかもしれない、と俺は思った。そこで電源ユニットを開いてみた。

IMG_1907_mid_640_480

<Fig.4 : 電源ユニットを開けるとそこは埃でいっぱいだった>

電源ユニットの中は見るに忍びない状況だった。埃でいっぱいである。空冷ファンによって空気が外から中に吸い込まれているのだから、こうなる理由はわかる。しかし、それにしてもひどい埃である。これでは故障するのもあたりまえだ、という気がした。

さて、電源ユニットを開けて回路をざっと眺めるのだが、当然、どこがどうなっているかわかるはずがない。故障の原因が電解コンデンサだと見当をつけたとしても、電解コンデンサは基板上に10個以上ある。ちゃんと動く電源から部品を取り出し、ひとつずつ交換するしかない、と思いながらネットで電解コンデンサの故障について調べると、どうやら電解コンデンサが故障するときに、膨張、液漏れ、といった症状を示すらしいことがわかった。

そこで基板上の部品を見ると、確かに膨張し、頂点がもりあがっている電解コンデンサがある。他の電源も開けて比べると、どうやら全部同じ部分の電解コンデンサの様子がおかしい。

IMG_1917_mid_640_480

<Fig.5 : 膨張し頂点がふくれあがった電解コンデンサ>

あらためて電解コンデンサの頭部を見ると、どのメーカーの電解コンデンサも、似たような切り込みが入れてあることに気づく。どうやら電解コンデンサの頭部にバツ印様の切り込みがしてあるのは、膨張したときに目視でわかりやすくするためなのだろう。

そこではんだごてを用意し、様子のおかしい電解コンデンサを取り外し、ちゃんと動いている電源の同じ部分の電解コンデンサを交換して取り付けてみる。すると、ちゃんと電源は動作することがわかった。

IMG_1921_mid_640_480

<Fig.6 : 取り外した不良の電解コンデンサ>

この電解コンデンサさえ交換すれば電源はちゃんと動作し、コンピュータも使えるはずである。そこで同等の規格の電解コンデンサを注文し、交換することにした。

IMG_1865_mid_640_480

<Fig.7 : 交換用の新しい電解コンデンサをまとめて購入した>

この電解コンデンサは、一個70円である。ひとつの電源ユニットには2個の新しい電解コンデンサが必要であるから、修理に要する費用は140円ということになる。

IMG_1867_mid_640_480

<Fig.8 : 交換用の新しい電解コンデンサ>

もともと基盤についていた電解コンデンサより、少し径が大きく高さが低いのだが、基盤には余裕があるので取り付けには問題がなかった。

IMG_1872_mid_640_480

<Fig.9 : 電解コンデンサを新しいものに交換した>

電解コンデンサを新しいものに交換すると、どの電源もちゃんと電気を共有してくれるようになった。20台のコンピュータを修理するのに、一個70円の電解コンデンサが40個、すなわち2800円の費用でできることになる。

もちろん、こうした修理はメーカーの保証外になり、何か他のトラブルがおこるかもしれない。したがってこの方法で修理したコンピュータを、そのまま実運用環境におけるかというと、それは問題があるかもしれない。しかし、一時的な実習に使うなど利用の場面はいろいろ考えられる。予算が乏しく、既存の設備を有効利用する方策を少しでも考えなければならない昨今なのだから。

コメント / トラックバック7件

Subscribe to comments with RSS.

  1.  私の会社でも全く同じ機種のPCが同じ症状で動かなくなり、中に入っていたソフトが移行できなくて困っています。
    そこで、PCを直そうと何とか電源ユニットは取り出しました。
     後は電解コンデンサの交換ですが、今までやったことがなくどこに注文していいかもわかりません。そこで、どこにどのような規格の電解コンデンサを注文すればよいか教えていただけませんか?また、はんだごてはあるので交換はできると思うのですが、交換する上での注意点があれば教えていただければありがたいです。
     いろいろと、急に失礼なお願いですが、コメントいただけると嬉しいです。

    ジャック

    2012年9月23日 at 10:36 AM

    • このように自前で修理をすれば当然メーカーの保証は受けられませんし、電源ユニットの修理は間違えば発熱、発火の危険もあるので、その点を理解した上で自己責任でやってください。

      まず交換すべき不良のコンデンサをみつけますが、電解コンデンサの頭部が盛り上がっているものが不良のものと考えられます。正常品は平らなのですが、多くの電解コンデンサは頭部に十字の溝がきってあり、膨張したときに中心部から盛り上がって発見しやすく作られています。

      原則は部品を同じものに交換することですが、なかなか同じ部品は手に入りません。電解コンデンサの規格は「容量」、「耐圧」、「耐熱温度」があります。「容量」は回路の働きにかかわるので同じものを選び、「耐圧」と「耐熱温度」は同じか大きければよいと思います。私の場合、交換した電解コンデンサは「容量」1000μF、「耐圧」10V、「耐熱温度」105℃のものでした。

      部品を選ぶ際のもう一つ重要な点は、部品の大きさです。機器が小型であるほど部品の配置密度が高く、もともとあった部品より大きいと取り付けられない場合があります。規格が同じなら大きさはほぼ同じだと思いますが、容量は同じでも耐圧や耐熱温度が大きいと部品は大きくなります。また規格が同じでも、細長いものや短くて太いものなど形状に違いがあります。取り付けられるか否かは、実際に部品を見ないとわからないかもしれません。私も1個だけ注文して大きさを確認してから再度発注しました。

      交換作業時の注意としては、半田ごての当て過ぎで部品を加熱させないこと、他の部品を損傷しないこと、はんだを使いすぎて回路をショートさせないこと、などがあります。また部品を樹脂などで固定している場合があるので、慎重に取り除いてから作業します。もうひとつ重要なことは、電解コンデンサにはプラスマイナスの極性があるので、もとの部品を取り外す前に極性を確認しておきます。極性を間違えると機能しないばかりか、加熱、発火、爆発などの危険があります。

      部品の注文は、通信販売で定評のある「秋月電子通商」がよく知られています。

      Yoshio Matsumoto

      2012年9月26日 at 8:05 AM

      •  コメントありがとうございます。
         実はPCを早急に修理する必要があったため、コメントを頂ける前に
        コンデンサ(ニチコンUPW1A 102M 10V / 1000μF / 105℃)を注文し
        電源ユニット内の不良コンデンサと交換し、無事PCが復旧しました。
         基板にはんだ付けされている部品の交換は初めてだったので、復旧
        するかは五分五分だと思っていたのですが、無事に復旧してホッとして
        います。
         コメントに書かれている注意事項を読んだ上で作業をしていれば、
        もっと安心して作業ができていたと思います。
         コメントにも書かれている通り、電源ユニットの修理は間違えば発熱、
        発火の危険もありますので、修理したPCは今後も注意して見守ってい
        きたいと思います。
         いろいろと丁寧に助言をしていただき、ありがとうございました。

        ジャック

        2012年9月27日 at 9:49 PM

  2. 会社の98MATEが、2台連続で電源オンしない状態に陥り、そのマシンでしか稼働しない勤怠及び給与計算処理があり、途方に暮れていました。
    そんな時、電源を疑いネット情報に望みを託し検索をしたところ、貴殿の記事に辿り着き、早速ユニットを開いて見たところ、電解コンデンサーが破裂もしくは、頭部の盛り上がりが、確認できました。
    明日、部品を調達し交換してみます。
    うまく復活しましたら、改めてコメント入れます。
    貴重な情報を、有難うございます。

    なな

    2012年10月14日 at 8:37 PM

  3. […] NEC MY25X/R-G が起動しなくなり、他の同機種の電源ユニットと交換すると起動したので、電源ユニットの故障と決定。しかし、この機種は、IDEハードディスク使用のパソコンで、さすがにいつも御用達のパーツショップにもありませんでした。http://www.pc-supply.jp/そこで、修理を考えたのですが、以下のサイトで修理を行なってもらえるようです。http://it-solutions.co.jp/pawerunit.htmただ、大抵は電解コンデンサーの交換で治るということを以下のサイトで解説されていました。https://matsumotoyoshio.wordpress.com/2011/10/20/%E7%9C%9F%E4%BC%BC%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%…とりあえず、一度、電源ユニットを開けてみることにしました。以下のようなIDE電源が2本あるタイプです。 […]

  4. あ・・・れ・・・NECさんは無償交換に応じてくれなかったんですか?
    台湾製不良コンデンサ(台湾の複数のコンデンサメーカーに粗悪な電解液が使われていた)によってマザーボードメーカーは無償交換など対応に大慌てな時期がありました。
    特定のコンデンサが壊れる=コンデンサが粗悪品or元々余裕の無い設計or量産の段階でコストダウンの為に本数を減らしたり容量の小さな物になったり・・・
    と考えるのが妥当かな。(写真を見る限り実際のコンデンサは安物の台湾製と思われ、交換品はルビコンの105℃低インピーダンス品)

    *後々ここを見る方のの為に・・・
    コンデンサを交換するときは同等の規格又はそれ以上、大きさは直径は同じ物が良いです。
    太さ8mmを10mmにしてしまうとリード(足)の間隔が違うため曲げて使うことになります。
    電子部品は基板にぴったりつくように取り付ける事が前提の設計なので、曲げた分だけ浮いてしまうとリード線の部分がコイルの役目を果たしてしまいます。
    電源の内部なので(マザーボードにも平滑回路が組み込まれているので)影響は小さいと思われますが、PCと周辺機器は精度が求められるので太さは同じ物を選び高さは他の部品・ケーブルなどと干渉しない物を選ぶのがベストです。

    通りすがりの捨て猫

    2013年3月5日 at 11:05 AM


コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。