ホチキス先生の「プログラマーと呼ばれたい」

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書評:Windows コマンドプロンプト ポケットリファレンス Windows7/Vista/XP/2000/2008 Server対応

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「究極無比!Windows7のコマンドプロンプトを完全解説!ユーザーからエンジニアまで仕事がすいすい捗る最強リファレンス」と表紙にコメントが書かれているとおり、まさに他に類比なき本である。このようなコンピュータ関係の解説本では、主要なアプリケーション、主要な技術に関して類似の本が何冊も出版されることが一般的だが、この本に関しては最初にして究極の本が出た、という印象である。

Windowsに限らず他のOSでも、今日的な一般用途向けコンピュータはGUIによる操作が行われる。GUIとは「グラフィカル・ユーザー・インターフェース」で画面に表示されるアイコンやメニューをマウスなどのポインティングデバイスで選択しながら操作する方法である。この方法のメリットは、アイコンの絵柄から機能を類推することができ、また文字によって詳細な説明を見ながら操作できるので、覚えることが少なくてすむということである。だから一般ユーザーに支持され普及した。

しかしGUIですべての操作が満足にできるかというとそうではない。およそ世の中のあらゆることがそうだが、いくつかの選択肢があったとき、ある方法が他の方法に比べてすべて勝っている、ということはない。ものごとには利点と欠点が必ずある。GUIの欠点としては、見えているものだけが操作対象になるので、いくつか複数の設定項目が影響する操作では全体が把握しにくいこと、操作が感覚的に陥りやすいのでうっかりクリックミスなどで間違ったときに気が付きにくいこと、そしてコンピュータの設定について必ずしも全ての項目についてGUIが提供されているわけではないことだ。

面白いことに若い人を中心にして、意外にもコマンドによるコンピュータの操作が受け入れられているようだ。コマンドプロンプトでバッチ処理をしている、レジストリの設定を自分でカスタマイズしているなど、「パワーユーザー」と称されるようなユーザーが増えているように感じる。GUIによる操作にあきたらず、コンピュータの性能をフル活用したいという気持ちの表れだろう。そしてもちろん、コマンドプロンプトの恩恵を最大限に活用できるのはシステム管理者である。

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Windowsコンピュータシステムにおいて最も効果的に管理する方法はActive Directoryによる管理だ。複数のコンピュータを複数のユーザーが入れ替わり立ち代わり使う環境では、Active Directoryによる管理が必須である。このような環境でまだActive Directoryによる管理をしていないところがあるなら、それはずいぶん損をしている。時間と手間と、そして何よりもセキュリティ上のリスクを背負っていると断言する。ドキュメントなど生成したコンテンツの共有、管理も効果的にできないはずだ。情報の正しい共有、管理ができず、あちこちの部課で似たような文書を作り、さらにそれら相互に矛盾をきたしカオス状態となっているはずだ。

Active Directory管理の基本はそれほど難しくない。基本はユーザー管理、ポリシー管理、セキュリティ管理、リソース管理である。リソース管理の主要なものはファイルサーバーのフォルダ管理とプリンタ共有の管理だろう。これらはある一定までGUIでできる。だがGUIだけでは完璧ではない。それにはレジストリに関する知識と、もうひとつはコマンドに関する知識である。

Active Directoryにはコンピュータの設定を変える機能がグループポリシーとして用意されている。しかし標準的に搭載されたグループポリシーによってコンピュータの全ての設定を変えることはできない。コンピュータの設定を自由に変えたいならばグループポリシーの知識を持ち、自分でグループポリシーテンプレートを作る必要がある。グループポリシーテンプレートを自分で作ることができるようになれば完璧だ。

より詳細な機能設定を行い管理するにはログインスクリプトを使う。ログインスクリプトはActive Directoryで管理でき、特定のユーザー、特定のグループに対してログイン時に特定のスクリプトを実行させることができる。このログインスクリプトはコマンドによる記述を行う。ここでこの「Windows コマンドプロンプトポケットリファレンス」の威力が発揮される。この本を読むと、コンピュータの機能をカスタマイズするとき、どのようなコマンドを使えばいいかがわかる。

コマンドの実行によってレジストリの値を変えることもできる。グループポリシーテンプレートを使うよりもログインスクリプトで実行した方が良い場合もある。この本にはレジストリの値を取得したり変更したりするコマンドについても、もちろん、説明されている。しかも対象OSはWindows 2000からWindows7までと広範囲にわたっている。この本が「究極無比」とうたわれる所以である。

この本の特徴として、序章に「コマンドの基礎知識」、第一章に「Cmd.exeの内部コマンド編」が書かれていることがある。「コマンドの基礎知識」では、コマンドを活用するために前提となる知識が説明されている。コマンドの文法、ファイルシステム、フォルダツリー、パス、ユーザーアカウント制限などについてである。「Cmd.exeの内部構造」ではDIRやCD、MD、COPY、DELなどの内部コマンドの説明がある。これらの知識は長年従事してきたシステム管理者や経験豊富なパワーユーザーにはおおむね理解されていることかもしれないが、これからコマンドの使い方を学ぼうと思う者には必須の知識である。またある程度知っているという者にも改めて知識を確認するという意味で読んでおいた方がいい。この2章で76ページが割かれているが、ここを読むだけでもこの本の値打ちはある。

第6章の「ネットワークコマンド編」もシステム管理者には随喜の章である。とかくネットワーク障害は対策が難しい。いったいどこがどうなってネットワークに不具合がおきているか、なかなかGUIだけではわかりにくい。こんなときコマンドを使ってコンピュータやネットワークの状態を調べることができる。ネットワーク管理者にも必携の書だ。「ネットワークコマンド編」には32のコマンドが解説され、65ページも費やされている。ネットワーク関係のコマンドは豊富なオプションを持つものが多く、そのオプションの解説も詳細でわかりやすい。ネットワーク管理者は中途半端なネットワーク管理の解説本を買うよりも、この本を買った方がいい。

特にこの序章「コマンドの基礎知識」は高等学校の教科「情報」の教員にもお勧めしたい。高等学校の教科「情報」ではGUIとCUIの特徴などを教えなければいけないが、CUIつまりキャラクタベース・ユーザー・インターフェースはコマンドプロンプトのことであり、CUIを授業で扱うときに必ず役に立つ。また実習プランの作成には、この本のリファレンス項目の中から生徒が興味を持ち、効果的な理解につながる課題を選ぶことができるだろう。

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一般ユーザーでも自分のコンピュータを縦横無尽に使いこなしたいと思っているパワーユーザーや、コンピュータのトラブルに悩まされており解決したいと思っているユーザー、そして何よりもシステム管理者にとって「Windows コマンドプロンプトポケットリファレンス」は座右の書となるはずだ。またWindows8の開発も進んでいるようなので、筆者にはぜひWindows8も対象に含めた改訂版をタイムリーに出してもらいたい。

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