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10分でわかる – Visual Studio と C# で理解するオブジェクト指向プログラミング

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オブジェクト指向は現代プログラミングにおいては強力な手法だが、高度に抽象化された概念を伴うため理解するには適切な学習と訓練が必要である。そこで Visual Studio 2017 を使った C# プログラミングにより、具体的な例をあげて、オブジェクト指向を説明してみよう。

たとえばフォーム上にボタンがあり、ボタンの大きさをスライダの操作によって変化させるようなプログラムを考えよう。Visual Studio ならツールボックスにボタンコントロールとトラックバーが用意されているので、マウス操作だけでフォーム上に配置することができる。

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トラックバーで変化させる値の範囲を、0から300にしよう。それには作成した trackBar1 のプロパティをプロパティウィンドウで変更する。Minimum の値は 0 のまま、Maximum の値を 300 に変更する。

OOP_003

次にトラックバーをマウスでダブルクリックし、トラックバーのスクロールイベントを作成する。ここに次のコードを書こう。これはオブジェクト指向ではないプログラミングの例だ。

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button1.Height = trackBar1.Value;
button1.Width = trackBar1.Value;

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ビルドして実行する。すると、スクロールバーを動かすことでボタンの高さの値と幅の値がスクロールバーの値になるので、大きさが変化する。ちゃんと動くプログラムができる。

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フォームの大きさに対して 300 というボタンのサイズは大きすぎるので、スライダを右端によせればボタンがフォームからはみ出すようになる。

では、ここからだ。

スライダの値範囲は 0 ~ 300 のままとし、スライダを操作してもボタンのサイズが 100 ~ 200 の範囲に留まるようにプログラムを書き換えよう。if 文を知っていれば、たいてい次のようにコードを書くだろう。

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if (trackBar1.Value > 100 && trackBar1.Value < 200)
{
button1.Height = trackBar1.Value;
button1.Width = trackBar1.Value;
}

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OOP_008

もちろん、これで求める動作をするアプリケーションが得られる。しかし、オブジェクト指向では、こう考える。ボタンのサイズが 100 から 200 の範囲に留まるのは操作をする側で調節するのではなく、ボタン自体の性質にするべきだと考える。サイズを 100 以下にする指示や 200 以上にする指示を無視するように実装するのだ。

ではオブジェクト指向でやってみよう。

それにはもともと用意されたボタンオブジェクトに変更を加える必要がある。そこでオブジェクト指向の「継承」という概念を用いる。「継承」は、あるオブジェクトの性質を引き継ぐ別のオブジェクトを作る方法である。次のコードでは「継承」を利用して custumButton のオブジェクトを作っている。

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class CustomButton : Button
{

}

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そして Form1 クラスに myCustomButton の名前で CustomButton オブジェクトを作り、フォームの Load イベントで myCustomButton のインスタンスを生成してフォームに表示する。

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CustomButton myCustomButton;

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myCustomButton = new CustomButton();
this.Controls.Add(myCustomButton);

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OOP_009

この状態でビルドすると、フォームの左上にボタンができているが、これは Button オブジェクトを継承して作った CustomButton である。ただ、この CustomButton には何もコードを付け加えていないので、このままでは単なるボタンと同じである。

OOP_010

次に、この CustomButton に自分のサイズを変更するメソッドを定義する。こんなかんじだ。

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public void changeSize(int x)
{
this.Height = x;
this.Width = x;
}

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これにより CustomButton オブジェクトは changeSize メソッドを持つことになり、myCustomButton.changeSize(100) のようにしてサイズを変更できるようになる。

ここでさらに、ボタンのサイズを 100 ~ 200 に限定するため、次のようにコードを書き加える。

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public void changeSize(int x)
{
if (x > 100 && x < 200)
{
this.Height = x;
this.Width = x;
}
}

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このことにより、ボタン自身がサイズの変更を 100 ~ 200 の場合のみ受け付けるようになる。トラックバーのスクロールイベントには次のようなコードを書く。

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myCustomButton.changeSize(trackBar1.Value);

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OOP_011

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これにより、ボタンのサイズを変更するプログラムは、全体のコードでは changeSize メソッドを利用して「大きさ変われ」と指示を出し、それを受けたカスタムボタンオブジェクト自身が指示通り動くかどうかを判断して動くようになる。カスタムボタンは 100 ~ 200 の値しか受け付けないので、それ以外の指示を出しても無視する挙動をする。オブジェクトにふるまいを実装することで、値の指示範囲を主プログラム側で気にする必要がなくなるのだ。

さらに CustomButton クラスの記述を分離コードの Form1.Designer.cs に移動すると、プログラム全体はより見やすくなる。

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さらに c# には、オーバーロードという概念があり、同じ名前のメソッドでも引数の型が異なれば重複して実装することができる。たとえばこのカスタムボタンに、サイズが 150 × 150 の決まった「mid」サイズの定義があるとして、それを次のように定義することができる。

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public void changeSize(string x)
{
this.Height = 150;
this.Width = 150;
}

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OOP_017

全体のコードでは、数値で大きさを変える changeSize メソッドと同じ名前でカスタムボタンに「ミッドサイズになれ」と指示を出すことができる。

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myCustomButton.changeSize(“mid”);

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新しくフォームに作ったボタンをクリックして「ミッドサイズ」にするコードは次の通りだ。

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OOP_018

このようにオブジェクト指向プログラミングでは「ふるまい」をオブジェクトの側に実装し、全体のプログラムからは

180 × 180 の大きさになれ

myCustomButton.changeSize(180);

ミッドサイズの大きさになれ

myCustomButton.changeSize(“mid”);

といった指示を出すように書くことができるようになる。このことでオブジェクトのふるまいがオブジェクト自身に記述され、プログラム全体が見やすく、また合理的にコントロールできるようになる。

2018年3月8日

松本 吉生(まつもとよしお)
Microsoft MVP Data Platform

1961年京都に生まれ、神戸で幼少期を過ごす。大学で応用化学を学んだのち、理科教諭として高等学校に勤務する。教育の情報化が進む中で校内ネットワークの構築運用に従事し、兵庫県立明石高等学校で文部科学省の「光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法研究開発事業」に携わる。兵庫県立西宮香風高等学校では多部制単位制の複雑な教育システムを管理する学籍管理データベースシステムをSQL ServerとInfoPath、AccessなどのOfficeソフトウエアによるOBA開発で構築・運用する。現在は兵庫県立神戸工業高等学校でC#プログラミング、IoTなどのコンピュータ教育を行う。2004年からマイクロソフトMVP(Microsoft Most Valuable Professional)を受賞し、現在14回目の連続受賞。2016年にマイクロソフト認定教育者(Microsoft Innovative Educator Experts : MIEE)を受賞し、現在3回目の連続受賞。

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C# – 教科「情報」の授業で使うタイピングトレーニングのソフトを作っています。その 6。テキストボックスをリッチテキストボックスに変更。フォントサイズを変えることができるようにした。

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授業でタイピング練習をすると同時に、アジャイル的なアプリケーションの開発の実際を体験する目的で、自作のタイピングソフトを作って改良を重ねている。今回はやや大きめの変更を加えた。

ひとつは、例題に対して自分が入力した文字のどこが間違ったかを「〇〇文字目」と表示していたのだが、実際に間違った文字の色を変えるなど直感的にわかるようにしてほしい、という生徒からの要望だ。これは、たしかに、わかる。しかしテキストボックスでは文字装飾に限界があるので、テキストボックスをリッチテキストボックスに変更し、間違った文字の BackColor を変えるようにした。

間違った文字の位置は、文字列の比較で myStrCount に入っているので、それを利用して次のようなコードになる。

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//スコアの値から間違った文字を赤く変える
richTextBox1.Select(myStrCount, 1);
richTextBox1.SelectionBackColor = Color.Red;

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もうひとつの要望は、文字の大きさが小さいので自分で適度な大きさに変更できるようにしてほしい、というものだった。これもいいフィードバックだ。

そこでフォームに 2 つのボタンとトラックバー、文字の大きさのサンプルテキストボックスを加えた。ボタンにはフォントサイズを 1 ポイントずつ増減するコードを書き、フォントサイズの下限を 1、上限を 30 としてトラックバーを連結した。コードは次の通りだ。

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int myFontSize; // フォントサイズを変数にする

// フォントサイズを増やすボタン
private void buttonFontSizeUp_Click(object sender, EventArgs e)
{
myFontSize++;
if(myFontSize > 30)
{
myFontSize = 30;
}
myFontSizeChange();
}

// フォントサイズを下げるボタン
private void buttonFontSizeDown_Click(object sender, EventArgs e)
{
myFontSize–;
if(myFontSize <1)
{
myFontSize = 1;
}
myFontSizeChange();
}

// フォントサイズを変更するメソッド
private void myFontSizeChange()
{
textBox2.Font = new Font(“MS UI Gothic”, myFontSize);
richTextBox1.Font = new Font(“MS UI Gothic”, myFontSize);
textBoxFontSize.Text = myFontSize.ToString();
trackBar1.Value = myFontSize;
}

// トラックバーのスクロールイベントに対するメソッド
private void trackBar1_Scroll(object sender, EventArgs e)
{
myFontSize = trackBar1.Value;
myFontSizeChange();
}

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2017年6月19日

松本 吉生(まつもとよしお)
Microsoft MVP Data Platform

1961年京都に生まれ、神戸で幼少期を過ごす。大学で応用化学を学んだのち、理科教諭として高等学校に勤務する。教育の情報化が進む中で校内ネットワークの構築運用に従事し、兵庫県立明石高等学校で文部科学省の「光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法研究開発事業」に携わる。兵庫県立西宮香風高等学校では多部制単位制の複雑な教育システムを管理する学籍管理データベースシステムをSQL ServerとInfoPath、AccessなどのOfficeソフトウエアによるOBA開発で構築・運用する。現在は兵庫県立神戸工業高等学校でC#プログラミング、IoTなどのコンピュータ教育を行う。2004年からマイクロソフトMVP(Microsoft Most Valuable Professional)を受賞し、現在14回目の連続受賞。2016年にマイクロソフト認定教育者(Microsoft Innovative Educator Experts : MIEE)を受賞。