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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための臨時休校による生徒の健康状態を Microsof Forms と SharePoint 、Power Automate で把握するシステムの構築 – 03 – Power Automate で Microsoft Forms に入力されたデータを SharePoint のリストにストアする Flow を作る

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令和2年2月27日、安倍総理は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月2日の月曜日から全国の小学校・中学校・高校・特別支援学校を臨時休校にするよう要請した。臨時休校にした場合、再開の目途を立てるためにも生徒の健康状態を把握する必要がある。担任が家庭に電話をかけることが基本になろうが、Webを使った健康掌握ができるように、Microsoft Forms、SharePoint のリスト、そして Power Automate で簡単なシステムを作ることを紹介した。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための臨時休校による生徒の健康状態を Microsof Forms と SharePoint 、Power Automate で把握する

このページでは、このシステムの作り方を説明している。あらかじ断っておなかければならないことは、このような Web システムの場合、不断に改良がされインタフェースが変わることがあることだ。とりわけマイクロソフト社は Office365 や Power Platform の開発に力を入れており、短期間でシステムが大きく変更されることが予想される。ここでの説明は現時点のものだと理解していただきたい。

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための臨時休校による生徒の健康状態を Microsof Forms と SharePoint 、Power Automate で把握するシステムの構築 – 02 – SharePoint リストの作成

Microsoft Forms に入力されたデータを SharePoint のリストに保存するために、Power Automate を利用しよう。Power Automate はクラウド上のデータを自動処理するための仕組みで、以前は Microsoft Flow と呼ばれていたものだ。ツール内でもこの Flow という用語は残っている。この Microsoft Flow または Power Automate はデータ処理の革命と言ってもいいほどの、恐ろしく強力なツールだ。

Power Automate で Flow を作るには、まず Office365 のホームから始める。このページで「Power Automate」のアイコンをクリックする。

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Power Automate の開始ページでは、左に並んだタスクのメニューから「+Create」をクリックして新しい Flow の作成を開始する。

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新しく Flow を作る手順にはいくつかの方法がある。コネクタを選びステップをひとつづつ選んで作ることもできるが、たいていのやりたいことはテンプレートが用意されているはずだ。「Start from a template」の検索ボックスに「forms」のキーワードを入力して検索すると「Record from responses in SharePoint」のテンプレートが見つかるだろう。このテンプレートを使って Flow を作っていく。

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「Record from responses in SharePoint」のテンプレートを選ぶことができた。画面をスクロールすると、このテンプレートは「Microsoft Forms」と「SharePoint」にコネクトされていることが示される。「Continue」のボタンをクリックして設定をすすめる。

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このテンプレートには Microsoft Flowの「When a new response is submitted」と「Get response details」、そして SharePoint の「Create item」のアイテムが設定されている。最初の「When a new response is submitted」アイテムは、この Flow の出発点であるトリガーを示している。Microsoft Forms にデータが登録されたときに動く、という設定だ。次の「Get response details」は登録された Forms のデータを取得するアイテム、そして SharePoint の「Create item」は SharePoint のリストにデータを格納するアイテムだ。それぞれ設定をしていこう。

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Microsoft Flowの「When a new response is submitted」では「Form Id」を設定する。ドロップダウンリストになっているので、クリックすると自分が作った Form が表示されるので選択する。「Get response details」も同様に「Form Id」を設定する。

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そして SharePoint の「Create item」では、まず「Site Address」をクリックして自分が管理する SharePoint のリストを表示し、使うサイトを決める。次に「List Name」をクリックすると、そのサイトに作った SharePoint のリストが一覧で表示されるので、データを保存するために使いたいリストを選択して決める。

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最後に、Forms のどのフィールドを SharePoint のどの列に記録するかの対応を決める。ここでは SharePoint のリストに設定された列名、「タイトル」「学年」「クラス」「番号」「体温」「担任名」「記録時間」がテキストボックスで表示されるので、それぞれクリックして項目を設定する。

まず「タイトル」だが、ここには「List of response notifications Response Id」を設定しよう。あとはそれぞれ Forms の項目に対応するものを選択すればいい。最後の「記録時間」には「Submission time」を設定しよう。

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設定ができれば上部の「Save」アイコンをクリックして Flow を保存する。保存すれば Flow が動き出す。

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動作を確かめよう。Microsoft Forms の入力フォームを開き、仮のデータを入力しする。

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データが送信されたら Power Automate の Flow が動くはずだ。Flow のページで動作を確かめることができる。左のメニュー項目から「My flows」をクリックすると自分が作った Flow を確認できる。

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確認したい Flow の名前をクリックする。

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画面をスクロールすると「Runs」のところに実行履歴が記録されていることがわかる。「Start」が Flow の開始時間、「Duration」は実行時間、「Status」は Flow が成功したか失敗したかだ。「Succeeded」となっているので成功したことがわかる。

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では実際に SharePoint のリストにデータが記録されていること確かめよう。SheraPoint のサイトを開き、検索ボックスでデータを記録したリストを表示させる。クリックするとリストを見ることができる。

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仮の入力データが正しく記録されていることを確かめよう。記録時間も記録されていることがわかる。

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これで一応は健康状態を記録することができるシステムできたが、このデータを抽出して、担任の先生に自分のクラスのデータだけをメールで送る Flow を Power Automate で作る方法を次に説明したい。

2020年3月1日
松本 吉生(まつもとよしお)
京都に生まれ、神戸で幼少期を過ごす。大学で応用化学を学んだのち、理科教諭として高等学校に勤務する。教育の情報化が進む中で校内ネットワークの構築運用に従事し、1998年度から2000年度にかけて兵庫県立明石高等学校で文部科学省の「光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法研究開発事業」に携わる。兵庫県立西宮香風高等学校では多部制単位制の複雑な教育システムを管理する学籍管理データベースシステムをSQL ServerとInfoPath、AccessなどのOfficeソフトウエアによるOBA開発で構築・運用する。2013年度に「兵庫県優秀教職員表彰」を受賞。2015年から2017年まで兵庫県立神戸工業高等学校でC#プログラミング、IoTなどのコンピュータ教育を行い、現在は兵庫県立神戸甲北高等学校に勤務する。2004年からマイクロソフトMVP(Microsoft Most Valuable Professional)を受賞し、現在16回目の連続受賞。2016年にマイクロソフト認定教育者(Microsoft Innovative Educator Experts : MIEE)を受賞し、現在4回目の連続受賞。2020年1月14日に「令和元年度文部科学大臣優秀教職員表彰」を受賞。

Written by Yoshio Matsumoto

2020年3月1日 @ 8:36 午前

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3件のフィードバック

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  1. […] 関連ブログこの方、神戸の県立高校の教務部長でMS-MVPだそうで、現場に凄い人がいるって強いです。2009年新型インフルの時は電子メールで調査したが問題が多かった。生徒数は600名以上。今回、Microsoft Formsを中心にシステム構築を行った。・利点:素早いアプリ構築、PCスマホ両対応、家庭の追加コスト不要・欠点:網羅的な集計不可、認証無く不特定ユーザがアクセス可)、構築はOffice365ライセンス必須・システム概要 Forms:入力フォームのデザイン(発熱、喉の痛みなど症状を入力) SharePoint Online:リストでデータ保存&Excel形式取得 Power Automate:高熱者データを電子メールで通知 PowerApps:在宅教員もスマホで確認可能・構築 約半日(養護教諭と連携して実装と改善を繰り返した)・工夫 認証が無い→担任の名前を入れるようにさせた 個人情報は入れたくない→年次クラス出席番号と苗字ひらがなとした 生徒への連絡→学校Webサイトからリンク、協力呼びかけ。網羅的な管理はあきらめる・運用 ・取得:管理者がSharePoint OnlineからExcelエクスポート→クエリがダウンロードされる。そのため毎回ダウンロードしなくとも、クエリ実行で最新データが入手可能(これは、現行のSharePointも同じ)。 ・確認:養護教諭か担任がデータを見て把握、健康状態によって担任が電話確認。 ・通知:高熱者(38.5度)超えたらメール送信。送信回数に上限がある点に注意。何でもかんでも送信はできない。・Power Platform開発の特徴 ・開発環境、コード管理、アプリデプロイから解放される<所感>まさにアジャイルの実践。このスタイルは自社にもぜひ定着させたい。PowerAppsとAutomateが4月から利用可能になっているので、活用例を作って、普及させるようにしたい。 […]


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